一昔前と違い、うつ病は現代病とも言えるメジャーな病気となった感があります。
心の病は怪我などの外傷と違い、他人から見てわかりづらいのが難点。
見た目(行動や様子など)に異変が起きている頃には、すでに病状が悪化状態になっていることが多く、入院しなければ生命に危険が及ぶことも。
うつ病は病気です。
他の病気と同様に、早期発見・早期治療が回復の近道ということを忘れないでください。
うつ病の主な症状
うつ病の症状は、「こころ」と「からだ」に出てきます。
こころの症状 からだの症状 ● 抑うつ気分 ● 思考力の低下
● 意欲の低下
● 睡眠の異常(寝不足・過眠) ● ホルモン系の異常 ● 食欲の異常(低下・増加) ● その他の症状(頭痛、息苦しさなど)
● 疲労、倦怠感
詳しい症状の具体例については
≫うつ病とパニック障害の情報・サポートサイト こころの陽だまり
をご覧ください。
もしも上記のような「こころ」と「からだ」に気になる症状が出ている場合、すぐに心療内科や精神科の受診をオススメします。
見落としがちな5つのうつ病シグナル
一般的に知られている「こころ」と「からだ」の症状以外にも、うつ病を進行させてしまう見落としがちなシグナルがあります。
私自身の経験から、5つご紹介します。
①自分のニオイが鼻につく
なんとなくだけど自分が臭い気がする…
毎日、風呂には入っている。
日中、汗が出るたびボディータオルでこまめに拭いている。
それでも自分のニオイが鼻につく。
うつ病になると「こころ」と「からだ」の両方に伴う『感覚異常』が出ることもあります。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の5つの感覚に、何かしらの異常が出るのです。
その中でも「自分のニオイが臭い」と思ってしまう嗅覚の異常を経験する方が、多くいらっしゃいます。
ナインティナインの岡村隆史さんも、うつ病の初期症状として「自分の臭いが気になるようになった」と話しておりました。
②聴覚が研ぎ澄まされる
寝たいのに、アナログ時計の秒針が進む音が気になって眠れない。
蛇口から水の落ちる音が気になる。
家のきしむ音が、以前に増して聴こえるようになった。
針を落としただけでも聴き取れるような、研ぎ澄まされた聴覚。
感覚の過敏や鈍磨も、うつ病の見落としがちなシグナルです。
③視線が定まり過ぎ
気がついたら、一点集中していた。
その間は、全く自分では気づいていない。
これは「こころ」の症状の中の思考力・意欲の低下に通じるものがあります。
ボーっとしている状態とも言えるのですが、違うパターンもあり
視線を一点集中しながら、あれこれと自問自答し思い悩んでいる状態
ということも。
声をかけられてハッとしてしまうことが多い傾向にあるのであれば、うつ病のシグナルを疑った方が良いかもしれません。
④他人の視線が怖くなる
以前は相手の目線に合わせて話することができてたけど、それができなくなってしまった。
他人からどう見られているのかが怖くて、顔を合わせるのが怖い。
うつ病は、対人恐怖症が表れることも知られています。
重度になると人と会うことを拒絶し、外に出ることも出来なくなってしまいます。
人は誰しも自分のことで精一杯。
他人のことなんて、実はあまり考えていないもの。
しかし、「他人は自分のことをこう思っているのではないか」という妄想に苛まれ、他人に対して恐怖心が出てしまう。
以前に比べ、他人の視線が怖くなった感じを受けるのであれば、うつ病のシグナルかもしれません。
⑤近未来のマイナスな出来事を連続予想してしまう
私が○○したから、家族に悪いことが起こってしまう。
テレビでも新聞でもニュースに上がっていたから、自分はこうなってしまうんだ。
近い未来、悪い出来事が次々に起こると思ってしまうことに囚われている状態は、うつ病のシグナルというより、もはやうつ病と言ってよいでしょう。
将来に悲観してしまうことは、うつ病の症状だからです。
何かしらの情報とこじつけ、紐づけてマイナスな出来事を連続予想。
ありもしない起こり得ないことであるのに、そう考えてしまう。
こじつけや紐づけは、自分を納得させる絶対的な要因となり、現実と非現実が錯綜する。
妄想や幻覚となって悪化していくことにもつながるため、早急な心療内科や精神科通院が必要です。
早期発見・早期治療を阻害するもの
うつ病は病気として認知されているのに、いまだ心療内科や精神科通院に抵抗を持たれている方が多くいらっしゃいます。
なぜでしょうか?
私は、変なこだわりやプライドが邪魔しているものと考えます。
・ このぐらいの状態だったら、まだ頑張れる
・ 寝れば良くなる
・ 心療内科や精神科に、お世話になりたくない
・ 心療内科や精神科に行くと、自分が弱い人間だと認めてしまうことになる
・ 弱い人間だと会社の人には知られたくない
・ 根性で乗り切ってやる
・ 弱音を吐くことは負けだ
・ 心療内科や精神科に、お世話になりたくない
うつ病の症状や5つのシグナルが出ている時には、精神的にも肉体的にも悲鳴をあげている状態。
風邪をひけば内科に行くのに、うつ病になって心療内科や精神科に行くのに抵抗がある理由。
それは、うつ病そのものや心療内科・精神科通院に対する偏見によるものです。
心の風邪とも言われている、うつ病。
この病気の専門科は、心療内科や精神科となります。
楽になりたいのであれば、まずは受診する勇気が必要。
受診したからといって、自分の人格が否定されるわけではないのです。
会社の人からの評価が下がってしまったらどうしよう…
それはあなた自身が近未来の出来事を予想していることであって、実際にはまだ起きていないですよね。
取り越し苦労というもの。
他人は変えられませんが、自分の考えは変えられます。
医師やカウンセラーなど第三者の人に自分の悩みを吐き出してスッキリすることで、うつの軽い症状であれば劇的な回復も見込める。
服薬することになったとしても、早期発見・早期治療の方が薬の量は少量で済みます。
うつ病が悪化するまで放置して即入院となった方が、仕事にもプライベートにも影響が出てしまいますよ。
病気と呼ばれるもの全て、早期発見・早期治療が回復の近道なんです。
うつ病は完治するのか
「うつ病は完治しない、寛解だ」
よく言われていることですよね。
そもそもこれって、大事なことなんでしょうか?
病気だから回復します。
ただ、完治するのかというと、糖尿病を考えてみてください。
生活習慣病といわれる糖尿病。
糖尿病は完治せず、インスリン注射を一生しなければいけないイメージがありますよね。
しかし、食事や運動療法で生活習慣を規則正しく改善した結果、インスリン注射から卒業する人も中にはいます。
薬から卒業し、その後の人生、規則正しい生活習慣を続けることで血糖コントロールができるのであれば、完治と言えなくはないでしょう。
薬に頼らなくても、生活できるわけですから。
うつ病もある意味、気持ちの生活習慣病ですよね。
気持ちの変動は、誰にでもあること。
その自分の気持ちに寄り添いコントロールできるようになると、徐々に薬は減っていくでしょう。
自分の考え方を見直し、人生を楽しく生きやすく。
マイナス思考がプラス思考に常に置き換えれるのであれば、もう完治したと言ってもいいのではないでしょうか。
薬が必要なくなったから完治したとはいえませんが、そもそも完治・寛解などは生活習慣病において全く関係ありません。
目線の先が、そもそも違うのです。
意識を完治・寛解に向けるのではなく、毎日の生活習慣を気をつけることだけに向ける。
ただ、それだけなんです。
毎日の生活習慣の積み上げが、薬の量を減らすことに繋がる。
経験が自信となり、自分なりの対処法がわかるようになる。
医学的なことは分かりませんが、自分がもう大丈夫と自信をもっていえるようになったら、とりあえず完治でいいんじゃないでしょうか?
わざわざ寛解なんて言葉で言い直さなくても。
骨折だって、完治するまで○週間と言われるけど、その後も古傷に悩まされることはありますし。
完治してねぇーじゃん!
って、思いません?
完治、寛解にこだわるのではなく、毎日の生活習慣を気をつける。
これが、完治への近道かもしれませんね。
まとめ:いつもと違う自分を知ること
うつ病の早期発見には、自分が気づくことが大切です。
他人が気づいて、あなたのことを心配してくれていても、あなたが自分の状態に見向きもしなければ早期発見にはなりません。
いつもと違う自分を知る。
こだわりやプライドが邪魔をすることもあるでしょう。
でも、自分に優しくできなければ、他人に優しくすることはできません。
風邪もこじらせると、治るのに日数がかかります。
うつ病も同じ。
だからこそ、早期発見・早期治療が大事なんです。
気づいてあげてください、自分が悲鳴をあげていることを。
解放してあげてください、自分のこだわりとプライドから。
うつ病のシグナル、見落とさないようにしてくださいね。
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