【土用の丑の日】の意味がわからない人
「土用の丑の日に、なぜうなぎを食べるようになったの?」 「土用の丑の日って、夏の土曜日にウナギを食べること?」 |
本日、土用の丑の日。
こう、うなぎ屋さんの店先に、のれんが掲げられると
と日本人なら誰しもが思うわけです。
条件反射的に想像できる
という構図。
なぜこのような習慣が定着したのか、説明できる人は意外に少ない。
しかも土用の丑の日は、年によって1回、もしくは2回あることを知っている人は、もっと少なくなってしまいます。
2021年(令和3年)は
・7月28日(水) ~ 丑の日(一の丑)
※ 2021年には、二の丑なし。
の1回、土用の丑の日があります。
土用の丑の日と言っても、土曜日に行うものではないんですね。
じゃあ、この「土用」とはなんなのでしょうか?
丑の日とは?
今回は
について調べてみました。
土用とは
土用の丑の日。
中には、土曜日にうなぎを食べるものだと、間違った認識されている方もいらっしゃいます。
土用=土曜日ではない
ということを、まず頭に入れておいてください。
では、土用とは何か?
実は、古代中国に端を発する自然哲学の思想「五行説」の考え方に由来します。
万物は木火土金水の5種類の元素から成る「五行説」
五行説または五行思想ともいいます。
木火土金水。
「もっかどごんすい」と読みます。
※「金」を「きん」ではなく、「ごん」と読ませる
占い好きの方なら聞いたことある言葉ですね。
また、陰陽師が流行った時に「陰陽五行説」が流行り、木火土金水という言葉を聞いたことのある人も多いでしょう。
五行説は、自然界に存在するすべてのものを
「木」「火」「土」「金」「水」
の5種類の元素に分類する思想。
天地万物のすべてが、この5元素にあてはまり
という考えが根底に存在します。
季節の変化も五行の推移によって起こると、古来より考えられています。
季節の変化って、春夏秋冬の4つ、四季ですよね。
五季とはいいませんよね。
では、木火土金水の五行をどのよう分けたかというと
木(木行):「春」の象徴
木の花や葉が幹の上を覆っている立木が元となっていて、樹木の成長・発育する様子を表す。
火(火行):「夏」の象徴
光り煇く炎が元となっていて、火のような灼熱の性質を表す。
金(金行):「秋」の象徴
土中に光り煇く鉱物・金属が元となっていて、金属のように冷徹・堅固・確実な性質を表す。収穫の季節を象徴。
水(水行):「冬」の象徴
泉から湧き出て流れる水が元となっていて、これを命の泉と考え、胎内と霊性を兼ね備える性質を表す。
土(土行):「季節の変わり目」の象徴
植物の芽が地中から発芽する様子が元となっていて、万物を育成・保護する性質を表す。
五行説では、木火金水がそれぞれ春夏秋冬の四季を割り当てられました。
残った土は、四季の中央に存在する「季節の変わり目」に割り当てられ、これを「土旺用事」、「土用」と呼びました。
では、「土用」とは何かなのですが、Wikipediaでは
土用とは、五行思想に基づく季節の変わり目を意味する雑節(ざっせつ)で、四季の四立(立春、立夏、立秋、立冬)の直前約18日間ずつを指し、俗には、夏の土用(立秋直前)を指すことが多い。
とあります。
雑節とは、二十四節気・五節句などの暦日のほかに、季節の移り変わりをより適確に掴むために設けられた、特別な暦日のことで、一般に雑節と呼ばれるのは9つあります。
・節分
・彼岸
・社日
・八十八夜
・入梅
・半夏生
・土用
・二百十日
・二百二十日
土用の丑の日でいうところの「土用」とは
のことを指していたのです。
今年2021年でいうと
・土用の入り ~ 7月19日
・土用の明け ~ 8月6日
の18日間が、夏の土用の雑節となっています。
【参考、引用】
【神社・寺-御朱印めぐり.com「【雑節】年4回?2021年の土用の期間はいつからいつまで?「土用」の意味や由来(起源)とは?」】
丑の日とは
丑の日の「丑」とは、十二支の「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」の一つ、丑のことを指します。
丑の日を説明するには少し長くなってしまうため、分けて説明します。
干支(かんし、えと)
十干と十二支を組み合わせた60を周期とし、暦をはじめとして、時間、方位などに用いられています。
別称として
・六十干支(ろくじっかんし)
・十干十二支(じっかんじゅうにし)
・天干地支(てんかんちし)
とも呼ばれています。
十干と十二支
十干は、甲・乙・丙・丁・戌・己・庚・辛・壬・癸の10種類。
十二支は、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の12種類からそれぞれなります。
これらを合わせて干支(かんし)と呼びます。
十干 音読み 訓読み 意味 本義 甲 こう きのえ 木の兄 草木の芽生え、鱗芽のかいわれの象意 乙 おつ、いつ きのと 木の弟 陽気のまだ伸びない、かがまっているところ 丙 へい ひのえ 火の兄 陽気の発揚 丁 てい ひのと 火の弟 陽気の充溢 戌 ぼ つちのえ 土の兄 ”茂”に通じ、容器による分化繁栄 己 き つちのと 土の弟 ”紀”に通じ、分散を防ぐ統制作用 庚 こう かのえ 金の兄 結実、形成、陰化の段階 辛 しん かのと 金の弟 陰による統制の強化 壬 じん みずのえ 水の兄 ”妊”に通じ、陽気を下に姙む意 癸 き みずのと 水の弟 ”揆”に同じく生命のない残物を清算して地ならしを行い、新たな生長を行う待機の状態
十二支 音読み 訓読み 本義 子 し ね “孳”で、陽気が色々に発現しようとする動き 丑 ちゅう うし “紐”で、生命エネルギーの様々な結合 寅 いん とら “演”で、形をとっての発生 卯 ぼう う 同音“冒”に通じ、開発の意 辰 しん たつ “震”、同音“申”に同じ、生の活動 巳 し み “已”に通じ、陽盛の極、漸く陰に移ろうとする所 午 ご うま “忤(さからう)”に通じ、上昇する陰と下退する陽との抵触 未 び ひつじ “昧”で、陰気の支配 申 しん さる 陰気の支配 酉 ゆう とり 酒熟して気の漏れる象。陰気の熟する所 戌 じゅつ いぬ 同音“恤”であり、“滅”である。統一退蔵 亥 がい い “核”で、生命の完全な収蔵含蓄
十干は10種類、十二支は12種類で1サイクルになります。
このサイクルを延々続けていくわけです。
甲子から始まり、乙丑→丙寅→丁卯→戌辰…と、最後は癸亥まで続いていきます。
組み合わせは全部で60あるため、60周期が終わると、再び甲子から始まるということになります。
では、丑の日というのは何かというと
のことを指しています。
具体的に挙げると
・甲丑
・乙丑
・丙丑
・丁丑
・戌丑
・己丑
・庚丑
・辛丑
・壬丑
・癸丑
の10種類が、「丑の日」に当たります。
本来の干支(かんし)は、十二支のみを指すものではない
干支(かんし)を、日本では「えと」と呼び、十二支の「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」のみを指すことが多いのですが、本来は間違い。
ためです。
また、「えと」についても十二支を指すのは、本来間違い。
「えと」は十干において
「きのえ(甲)」
「きのと(乙)」
「ひのえ(丙)」
「ひのと(丁)」
と陰陽に応じて「え」「と」の音が入ることに由来します。
そのため
という日本ならではの認識は、厳密には二重で間違っていることになるのです。
土用の丑の日とは
土用とは
丑の日とは
をそれぞれ指しています。
土用の立秋直前約18日間というと、期間的には7月19日~8月7日の間となります。
2021年であれば
・土用の入り ~ 7月19日
・土用の明け ~ 8月6日
でしたから、その期間内で丑の日を探せば良いということになります。
丑の日がいつかを探すためには、「干支カレンダー」でググると出てきます。
2021年7月19日から8月6日までの間の丑の日を探してみましょう。
2021年7月28日(水)が丁丑により、2021年における夏の土用の丑の日は、1回あることがわかります。
なぜ、年によって土用の丑の日が1回、もしくは2回になるのか
干支(かんし)における十二支のサイクルが12日で1サイクルであり、土用の雑節は約18日間。
土用の入りが十二支で「申」以降から始まれば、その年は2回土用の丑の日があることになり、「子から未」の間で始まる場合、その年は1回(※年によって、土用の期間が19日になる場合、未から始まっても2回土用の丑の日となる場合がある)のみ、土用の丑の日となります。
土用の丑の日は
と呼びます。
一般的には「夏土用の最初の丑の日」にうなぎ屋の祭り「土用丑」と称してうなぎを食べる日ということになっていて、2回目の「土用丑」はあまり盛り上がらないといいます。
そのため「二の丑」よりも「一の丑」に食べるうなぎが有名ということになるのですね。
なぜ、土用の丑の日にうなぎを食べるのか?
「暑い時期を乗り切るために、栄養価の高いうなぎを食べる」
という習慣は、万葉集にも読まれているように、日本古来のものだったようです。
それがなぜ、土用の丑の日に食べるという習慣になったのか?
それには、諸説あるようです。
①平賀源内説
一番知られている通説が「平賀源内説」です。
平賀源内は
・本草学者 ・戯作者
・地質学者 ・浄瑠璃作者
・蘭学者 ・俳人
・医者 ・蘭画家
・殖産事業家 ・発明家
として知られています。
どんだけ、専門職あんだよ!
って思ってしまうほど、天才・異才の人である平賀源内。
一般的には、エレキテルで有名ですよね。
その非凡な才能を持つ平賀源内が「土用の丑の日」発祥とする説が最もよく知られているのです。
平賀源内説は細かなバリエーションに違いがあり、要約すると
商売がうまくいかない鰻屋(知り合いの鰻屋といパターンもある)が、夏に売れない鰻を何とか売るため源内の元に相談に赴いた。
源内は、「本日丑の日」と書いて店先に貼ることを勧めた。
すると、その鰻屋は大変繁盛した。
その後、他の鰻屋もそれを真似るようになり、土用の丑の日に鰻を食べる風習が定着した。
というものが、有力なようです。
日本における「コピーライターのはしり」とも言われている平賀源内。
どんだけ才能あるんだよ!
って、羨ましくなっちゃいますよね
夏の土用時期は暑さが厳しく、夏バテをしやすい時期。
日本では昔から「精の付くもの」を食べる習慣があり
・土用蜆(しじみ)
・土用餅
・土用卵
などの言葉が今でも残っています。
奈良時代頃からうなぎは「精の付くもの」として有名だったようで、土用うなぎという風に結びついたのではないかという説や、「丑の日に『う』の字がつくものを食べると夏負けしない」という風習があったとされています。
うなぎ以外には
・瓜
・梅干
・うどん
・うさぎ
・馬肉(うま)
・牛肉(うし)
などを食する習慣もあったようですが、今日においてはうなぎ以外、ほとんど見られなくなってしまいました。
【参考、引用】
【Wikipedia「土用の丑の日 由来 通説(平賀源内説)」】
②明和誌説
文政5年(1822年ー1823年)当時の話題を集めた『明和誌』(青山白峰 著)によれば、安永・天明の頃(1772年ー1788年)よりの風習であるとされています。
③春木屋善兵衛説
「土用に大量の蒲焼の注文を受けた鰻屋、春木屋善兵衛が、子の丑、丑の日、寅の日の3日間で作って土甕に入れて保存しておいたところ、丑の日に作ったものだけが悪くなっていなかったから」という説。
④蜀山人説
鰻屋に相談を持ち掛けられた蜀山人こと大田南畝が、「『丑の日に鰻を食べると薬になる』という内容の狂歌をキャッチコピーとして考え出したという話が天保10年(1839年ー1840年)の『天保佳話』(劉会山大辺甫篇の狂詩集) に載せられている」と説明するケースがあるが、同書にそのような記載は一切ない。
また、天保8年に刊行された同名の随筆集『天保佳話』を出典にあげることもあるが、同書にも大田南畝と土用の丑の日を結びつける記述は一切ない。
ただし、大田南畝の作品を集めた『紅梅集』(全集第二巻所収)には、土用丑の日とは関連付けていないが、鰻屋の「高橋」を讃えた狂歌と狂詩が掲載されている。
⑤丑=鰻二匹説
「平仮名で墨汁を使って毛筆で書いた『うし』という文字が、まるで2匹の鰻のように見えたから」という説。
土用の丑の日を調べていくと、いろんなことがわかりました。
本来の「土用の丑の日」は、夏に限られたものではなく
を指しています。
そのため、うなぎの養殖業者らが中心となり
「夏以外の土用の丑の日にも、うなぎを食べる習慣を普及させよう」
という動きが近年見られています。
スーパーやコンビニでも、この動きは見られています。
四季の季節の変わり目の丑の日にうなぎを食べる習慣が、今後流行るかどうかは
といっても過言ではないでしょう。
我々ブロガーの、チカラの見せどころかもしれませんね。
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